一度は見てみたかった円山公園のしだれ桜。
テレビでこのしだれ桜の桜守(さくらもり)の方を拝見してから、ますます引き込まれ、今年の春に義母と夫で見に行こうということになった。
離れて住む義母と京都で落ち合い、2泊3日の京都旅。
約2年前に着物を学び始めてから、2回ほど旅先で着物を着たことはあったが、慣れないホテルの部屋での着付けは時間がかかり、焦らないように約1時間は見積もるので、夫はその間、自由行動。
また、もともとおっちょこちょいでいつ着物を汚すかわからない自分を信じることができず、着物旅は移動中は洋服で、着物を着るのはあくまでもホテルに着いてから。
必然的に2泊3日だとホテルのチェックイン・アウト時間の関係から、初日のディナーと2日目のみ着物を着ることが多い。
今回もまた初日のディナーと2日目で着物を着ようと計画していた。
が、しかし。
初日新幹線を降りてそのまま義母とランチをし、近くの桜並木をゆっくり見てホテルにチェックインし、さあちょっと休んで15分後にいよいよしだれ桜を見に行こうか〜という時に、私の変な着物の血が騒いでしまった。
せっかくあの憧れのしだれ桜を見に行くのに、洋服でいいんだろうか、、、
そもそも、谷崎潤一郎の『細雪』に憧れて、京都の桜を見てみたいと思ったのが始まりなのに、細雪のように桜散る中で着物を着ずに洋服で本当に後悔しないだろうか、私。
でもあと15分しかない、、、いつものように「今から1時間くらいかかるから観光してきていいよ〜」なんて言えないのだ。
、、、一か八かやってみるか。
思い立ったら即行動の私は、スーツケースから風呂敷に入った肌着や腰紐、帯締め、帯揚げ、着物、帯、草履などを取り出し、姿見の前に衣裳敷を広げ、急ピッチで着付けに取り掛かった。
不幸中の幸い(?)で、持ってきた着物は義母から譲り受け、自分サイズに仕立て直したベージュのちりめん小紋。
いつもはのんびり決めている衣紋の抜き具合、おはしょりの長さもええい!とスピード優先で大雑把に決めたが、自分サイズなので大きくずれることはなく、気がつけばくるくる回って帯を締め、お太鼓を作り、ドタバタの着付けは完了した。
その時間なんときっかり15分。
無事に着付けを終えて姿見で正面、後ろ姿、横を見て確認し、夫にも「変なところないかな!?」としつこくし、大丈夫だろうという判定に。
ロビーで待ち合わせた義母も「え、この短時間で着てきたの!?」とびっくり顔で、私自身もよく着れたなと内心ドキドキしながら桜を見に出発することができた。
しだれ桜は圧巻で、その存在感と美しさに三人で感動し、無事に記念写真も撮って念願の「細雪ごっこ」も叶え、ああ頑張って着てよかったなあとほっとすることができた。
でも、満足したのも束の間、写真を見てみると、帯締めの締め方が間違っている、、、
結び目が逆になっているのに加え、丸組だったので、上下並べるように締めたほうがきれいだったのに重ねるようにしてしまった。
やっぱりまだまだ初心者、短時間でささっときれいに着れるように精進したいなあと思いながらも、また新しい挑戦をして学んだ自分に満足できた京都旅だった。