約30年ぶりにやっととられた、キシキシになったしつけ糸

実家の古い着物など譲り受けたときに、畳紙や衣装敷にその着物を広げてみる。

わあ、こんなに素敵な柄初めて見たなあ、この着物にはどんな帯を合わせようかなあと妄想を膨らませドキドキ。

また同時に痛み具合や汚れ具合も確認をする。

洗い張りやしみ抜きが必要かどうか隅々まで確認する作業もまた別の楽しみがある。

 

そんな着物たちを広げてみていると、よくしつけ糸がそのままのものがある。

特に元呉服屋の祖母の長襦袢はほとんどしつけ糸がついたまま。

これは果たして仕立て上がってから一度も着ていなかったのだろうか?それにしてもシミや黄ばみなどがある。面倒で取らなかったんだろうか? 

「あえてそのまま着てたんだと思うよ。長襦袢のしつけ糸はどうせ外から見えないから、袖の形をきれいに保つために残してたんだと思う」

母に聞いてみて納得した。

長襦袢の袖についているしつけ糸
こちらも同様にしつけ糸が

それなら私もそのままにして着ようかなと、しつけ糸を切らずにそのままにして着ることに。

 

しばらく経ち、次は義理の母から譲り受けた長襦袢を広げてうっとり見ていると、祖母の長襦袢のようにしつけ糸がついたまま。

でも違ったのが、こちらの長襦袢のしつけ糸は経年劣化で黄色く変色しており、その変色が長襦袢地にうつってしまっていた。

しつけ糸のあとが残っている

これはまずいと思い、すぐにしつけ糸をとることに。

触ってみると、しつけ糸はキシキシ。

箪笥で眠っていた長襦袢のしつけ糸を約30年ぶりにとってあげたけど、あまりに長いこと一緒だったのでしっかり面影が残ってしまった。

どうせ見えない位置なので、これはこれで残しておこうと思う。

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